ねぇ感想

2017/11/11

新曲、ねぇ。界隈の感想が聞こえてこないけれど、やはり2007年モードの曲。着うたで「高速ステップ」と表記されているカットアップ部分はセラミックガール直系、ラスト25小節にわたって「ねぇ」を連呼するパートはBcLの終盤を彷彿とさせる。


ただ、ここまでの2007回帰の曲と異なり、この「ねぇ」には若干だが「トライアングル」から継承してきた部分があり、端的には歌メロの部分(1番と2番で歌詞が異なる唯一の部分)がThe Best Thingの主旋律と同じラインを持っているところに示される。


ここまで2008~2009年のラインをほとんど全否定するような形で矢継ぎ早に新曲をリリースしてきた「攻め2」(命名:西脇綾香)2010年だが、ここにきてやっと2009年を継承して「次のステップ」に移行するための「音」が出てきたことはおそらく新春にもリリースされるであろう4thアルバムの新曲群に反映されることになるのであろう。


Perfumeはここまで殆どの場合過去を省みない形でリリースを重ねてきたが、ライブパフォーマンスにおけるあからさまな2008~2009楽曲の人気の無さ(それは直角二等辺三角形ツアーの特にアリーナ公演で顕著となった)から急転換して2007年回帰へと向かったが、そこでこぼれ落ちたのがこの「The Best Thing」のラインだった。この曲だけが3rdアルバムにおける唯一のPerfume「本線」の進化系であって、それ以外の、例えばお笑いユーロ歌謡路線であるとか、ジャイケル・マクソン路線であるとか、それ単体でどうこう言うより「それPerfumeを聴いている人に必要か?」という変化球のオンパレードの中で唯一光る1曲だった。今回、割と明確な形で主旋律にこのTBTラインが復活がしてきたことは、確実に「次」はもう2007年ラインを振り返る様なものではないのだろうということを感じる。


曲そのものにも触れておこう。これは「子供っぽさのない」青春疾走路線。Dream Fighter以降、ひたすら「子供」におもねってきた徳間=

AMUSEプロデュースだが(それは端的いうと「子供から見た想像上の」人生の厳しさであったり「子供から見た想像上の」一人暮らしであったりした)この歌詞の風景にはそういう「絵空事」はない。狙っているのはもう少し上の世代、大学生とか、専門学校生とかそこいらへんの世代を狙っている匂いを感じさせる。「信号が青に変われば」「その先は海」というフレーズから見える風景からは少なくとも登場する男女のいずれかは「免許を持っている」ことを示唆するからだ。普遍的な真実を架空の物語世界に仮託して叩きつけるように描く「3部作」程のハイブロウさこそないが、これはこれで「挑戦的な」方向転換だと思う。青春頑張ろうソングとか根拠のない自分頑張れソングとか、あのKANが作った「どうしようもない民度の低いJ-POPの世界」はこの曲から一切感じられない。そう言うのが必要な世代にも(そういう要素がないのに)うけてきたのがGAMEまでのPerfumeであって、そういう要素を入れたがために頭打ちになり、急速に失速しかけたのがPerfumeだったのだから、その要素は少なくともPerfumeのリスナーからは必要とされない(本当のこと言うなら殆どの日本人からもう必要とされてない)という認識は正しいと思うし「ねぇ」からそういった要素が完全に消えたしまったことは好ましい変化だと思う(実を言うとVOICEからは若干感じられた)

曲はテンポチェンジのない単純な4/4拍子。かつてポリリズムで一世を風靡したPerfumeであったことを考えればまだまだ寂しいトラックではあるが、上物に工夫をこらすことで充分な疾走感を得ることに成功している。この疾走感はPerfumeの曲としてはほんとうに久々な(2007年以来)シロモノで、あとはリズム的に噛み付くような工夫さえあれば「完全に噴火」(by徳間タン)と言ってもいいところまできたと思う。構造はサビと歌メロ、そしてカットアップ部という3要素。いわゆるBメロを配してコーラスとサビをいきなり繋いだところに目新しさを感じる(「愛を止めないで」までのオフコースにこういう曲がめちゃくちゃ多かった)が、コーラス尻の解決が割と投げっぱなしで唐突にサビになってしまうのがなんともいい加減w それでも在り来りなJ-POP構造(古賀演歌以来の慣習的構造に意味もなく縛られた世界)とあからさまに決別しているのは非常に望ましい変化ではないだろうか。少なくとも従来のJ-POPに「飽きた」層には確実にフックする部分だろう。


かつてこのblogのみならずいろいろなところで「Perfumeが売れなかったらJ-POPはおしまい」と言われ続けてきたが、なんとなくそういうところまでポジションを戻してきたところを感じさせるのがこの「ねぇ」だと思う。歌詞からJ-POPの主要購買層が「共感」できるような部分を排し、構成からも慣習的なJ-POP構造をやめてむしろ耳障りな展開を取り入れ「もしJ-POPのリスナーがつんぼだったら」売れないだろう要素をまた載せてきたのがこの「ねぇ」だ。この「ねぇ」がここまで一生懸命開拓してきた「Dream Fighter:以後のファン層から拒絶される結果になるとするなら、それはPerfume神話の終わりというより「J-POP」の終わりを示唆するように思う。単独の曲としてはまだまだ全然冒険も何もしていない水準だと思うが、それでもJ-POP耳が拒絶するというなら。。。


望むなら、どうせこの曲がダメなら何やってもだめなんだから、続く2011シングルは複合変拍子が複旋律でバシバシ走るようなウルトラハードコアなチューンに走ってもらいたい。もういい加減「つんぼに音楽は売れない」ことを自覚すべきだ>徳間